FASHION

服を「現象」として捉え直す。ハトラがデジタル技術で仕立てる26AWの日常着

季節の変わり目に届き始めた秋冬の新作たち。その中でも、デジタルテクノロジーを活用し、衣服を現象的な存在として捉え直す「ハトラ」の26AWは、見慣れた日常着の輪郭を心地よく揺らすようなラインナップが揃っています。

服を「現象」として捉え直す。ハトラがデジタル技術で仕立てる26AWの日常着のMIREORIスナップ
MIREORI SNAP

決まった形を持たず揺らぐ「現象」としてのワードローブ

少しずつ秋の風が混ざるようになってくると、クローゼットの中身をどう更新していくか考え始める人も多いはず。今季の「ハトラ(HATRA)」が掲げたテーマは「PHENO」。衣服を固まったひとつの造形としてではなく、決まった形を持たずに揺れ続ける現象的な存在として捉え直すという、静かでコンセプチュアルな試みからコレクションがスタートしています。

このテーマの起点となっているのは、アーティスト兼プログラマーの古舘健氏と取り組んできたテキスタイルプロジェクト。織り組織を連続的に変化させる実験を通して、衣服そのものを現象として再解釈したといいます。スウェットパーカやモッズコート、セーターといった私たちが日頃親しんでいる定番のアイテムが、デジタルテクノロジーと独自のパターンによって新しい表情へと再設計されています。

弧を描くオーバーコートと、6色の糸が織りなすグラフィック

コレクションの中でまず目を奪われるのが、立体的なフォルムが際立つ「DISK_OVER_COAT」。ミリタリーの要素をベースにしながら、裾から前端、フードの先までが途切れのないディスク状の弧を描くようにカッティングされており、独特のバルーンシルエットを生み出しています。毛羽立ちを抑えた上質なウールギャバジンが、豊かな立体感と美しいドレープを支えています。

HATRAの服を着て動いたときに生まれる立体的なシルエットと、3人の自然な会話を伝える一枚

また、柄モノに視線が向く季節に注目したいのが「PHOTON_KNIT_SWEATER」。滲むような光のグラフィックが印象的ですが、これはプリントではなく、わずか6色の原色糸を組み合わせたジャカード編みによって表現されています。一見するとフラットな黒に見える部分にも微妙に異なる色糸がモヤのように編み込まれており、プリントとは異なる奥行きとテクスチャーが生まれています。ドロップショルダーのゆったりしたシルエットで、一枚着としてもシャツとのレイヤードでもバランスが取りやすい仕立てです。

立体構造のスペーサーニットと、表情を変えるパールドット

日常の中で手に取りやすいベーシックウェアも、ハトラの手にかかると造形美が際立ちます。「SPACER_PARKA」と「SPACER_PANTS」に使われているのは、上下の編地を立体的な糸でつなぐスペーサーニット素材です。パーカは素材の厚みと反発性を生かし、首元からフードにかけて自然な立ち上がりが生まれるよう構築されています。パンツは裾から大きく取ったタックによって、脚を包み込むような立体的なシルエットに仕上げられています。ベルト部分には上品な光沢と滑らかな手触りを持つウールベネシャンが用いられ、リラックス感に端正な質感を加えています。

さらに、端境期の羽織りとしてもインナーとしても使えるのが「PEARL_DOT_CARDIGAN」です。オールブラックのリブ編みボディに、同色のパールドットボタンを配置。手元にたまる長めの袖丈とすっきりした身頃のバランスが特徴で、ボタンの留める位置や数によって開き方やシルエットを調整できます。ディテールがありながら、着る人自身が身体のバランスを変えられる余白を持った一着です。

MIREORI TALK

しおり

6色の糸で光の滲みを表現するジャカードニットって、テキスタイルプロジェクトならではのアプローチだよね。プリントとは異なる奥行きが出るのも納得。

みう

パーカのフードが、被っても下ろしても自然に立ち上がるように作られてるのいいね。ラクに着られるのに、形がちゃんと決まるの嬉しい!

れな

パールドットのカーディガンも気になるな。ボタンの留め方で開き方やシルエットを変えられるから、羽織り方に自分らしさを出せそう。

記事の先頭へ ↑